ゆるふわブログ

東京大学理科 I 類 2 年の学生です.プログラミング,大学の勉強,日常生活で感じたことをゆるふわに書いていけたらなと思います.技術的に拙いところがあっても温かい目で見守っていただければ幸いです.

メネラウス・チェバの定理から液体窒素が存在することがわかる???

なんともキャッチーなタイトルをつけてしまいました.
メネラウスの定理・チェバの定理は中学の幾何の時間にならう,幾何学の中でも有名な定理です.
これらの定理は簡単な規則があるので容易に覚えられる反面,個人的には面白みに欠ける定理でした.しかし,こいつらの面白い背景を見つけ,それが熱力学で出てきたので,そこらへんのことを書いてみようと思います.
定理自体は中学レベルの数学ですが,説明のため高校の数学 (ベクトル), 物理 (重心,天秤のつりあい) などが登場します.
また,加重重心について理解できると,全ての物質に三態 (固体・液体・気体) があることがわかります.ただ,これには少し大学レベルの熱力学が出てくるため,難しいかもしれません.また,重心座標を使うと,三角形の五心 (重心・垂心・外心・内心・傍心) の座標を簡単に記述することができます.
なるべく専門的な知識がなくても読めるように書くつもりですが,何かわからないことがあれば,どんな些細なことでも結構ですのでコメントで聞いてください!

メネラウス・チェバの定理って?

忘れてしまった人のために復習しておきましょう.まずはチェバの定理です.
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と 1 点で交わっている時,

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が成り立ちます.(本当は点が外に出ててもいいのですが,簡単な場合のみ考えます)
図に振ってある矢印の順に三角形を回っていけば簡単に作ることができますね.
次にメネラウスの定理です.
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で,同じく

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が成り立ちます.(これも最もスタンダードな場合です)
ちなみにメネラウスは 98 頃の人間で,チェバの定理は 1670 年頃の話なので,並べるならメネラウス・チェバの定理というのが自然だと思います.

これがどうして成り立つのか見ていきましょう!

天秤のつりあい

下準備として,中学入試でよく出る天秤のつりあいの問題を考えてみましょう.
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天秤がつりあうには,(支点からの距離) × (おもりの重さ) が左右で等しくなければなりませんでした.
逆に言えば,左から 2 : 3 の重さのおもりを支える支点は,その比を逆にした 3 : 2 でおもりの間を内分した位置になるということです.

三角形の頂点におもりを乗せる?

チェバの定理の例題として次のような状況を考えてみましょう.
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普通にチェバの定理を適用してもいいですが,三角形の頂点におもりを乗せることで考えてみましょう.
三角形の各辺に注目します.例えば,辺 BC を考えます.辺 BC を天秤とみなして,頂点 B, C に先ほどの例のようにおもりを吊るして,その支点が点 L に一致するようにします.すると,先ほど考察したことから,B, C には 3 : 2 の重さのおもりを吊るせば良いことがわかります.辺 AC についても同様に考えると,下図のようにおもりを吊るせば良いことがわかります.
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そして辺 AB 上で天秤のつりあいの関係が成り立つように逆算すると,? が 8 であることがすぐにわかります.
また,支点 (重心) に両端のおもりの合計の重さがかかっていると考えると,メネラウスの定理も説明できます.新たに辺 AL を天秤とみなして,3 つの線分が一点で交わっている点を支点としましょう.
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実線の状況にメネラウスの定理を適用してみると成り立っていることがわかります.

辺ごとに考えて天秤がつりあうように辻褄を合わせましたが,この三角形全体をひとつの板と考えて,3 つの線分が交わっている 1 点で支えてあげることができます.この点を加重重心 (おもりがかかった上ことで補正された重心) といいます.
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ただし,図中の辺上の数値は比の値です.
また,簡単な考察*1から,おもりの重さの比はそれに対する三角形の面積比になっていることがわかります.(例えば,頂点 A のおもりならば,それに対する三角形は △GBC.)
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このようにメネラウス・チェバの定理の問題を解く手法を「天秤法」というそうです.

重心座標

△ABC の頂点 A, B, C に a : b : c のおもりを吊るした時の加重重心を [a,b,c] と表すことにします.これを重心座標といいます.比だと定数倍の自由度があるので (1 : 2 : 3 だろうが 2 : 4 : 6 だろうが同じになってしまう),a + b + c = 1 と断って絶対的にします.
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そうすると,A([1,0,0]),B([0,1,0]),C([0,0,1]) などと表せます.
三角形内部の点は 0 <= a,b,c <= 1,a+b+c=1 なる実数 a, b, c を用いて [a,b,c] と表せます.

物質の三態が存在することがわかる??

物質の三態とは,固体・液体・気体のことです.
例えば水は日常的な温度で 固体 (氷)・液体 (水) ・気体 (水蒸気) と移り変わっています.ですが,例えば窒素は日常的な温度では空気中に気体として存在し,固体や液体ではありません.全ての物質がこの三態をとるのかどうかは決して自明ではないのです.
これを考えるために,「化学の大原則」を紹介しましょう.それは,
「自発的に進行する反応はエネルギーが下がって安定になるか,乱雑さ (エントロピー) が上がるかのどちらかである」
です.乱雑さとは,散らかり具合のことで,例えば液体よりも,広く拡散して飛び回る気体の方がエントロピーは高いです.
そして,これらの 2 つの要素を 1 つにしたエネルギーをギブスの自由エネルギーといいます.それは,エネルギーを H,エントロピーを S,温度を T として,G = H - TS と定義されます.これにより,エネルギー H が下がれば G も下がり,エントロピー S が上がれば頭に - がついていますから,G も下がります.よって,「化学の大原則」は単に G が下がる向きに進行すると言えるのです.
物質の状態の変化も化学反応の一種です.物質の状態の変化は,固体から液体の方向だけに進むといった一方的なものではなく,双方向に可逆に進行します.よって,例えば 固体 → 液体において G が少しでも下がってしまうと,逆の液体 → 固体では G が上がってしまうので固体 → 液体にしか進行しなくなってしまいます.よって,状態の変化では G は下がりも上がりもせず一定なままなのです.これが示せればとりあえず双方向に行き得ることがわかります.
さて,難しいのですが,ギブスの自由エネルギー G には図形的な意味がありまして,内部エネルギーを U,体積を V とすると,U-SV の 3 次元空間上にある平衡曲面の接平面の U 切片と捉えることができます.U, S, V は示量性状態量といって,量が半分になればその値も半分になります.なので,例えば固体・液体・気体での U をそれぞれ  U_s, U_l, U_g とすると,それらが  m_s, m_l, m_g の比で混じっているとすれば,全体の U は,

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となり,これは重心座標  [m_s, m_l, m_g] と捉えられます.S, V についても同様にできるので,結局,固体・液体・気体の混合状態は U-SV 空間上の三角形の内部を動くごとになります.そして,その三角形は 1 つの平面に乗っていますから,その U 切片,つまりギブスのエネルギーは一定です.これで示せました.
ただし,これは「進行するとしたら可逆」であることを示しただけで,実際に進行するかは活性化エネルギー等を考えなければならないので別問題なのですが,まぁ固体・液体・気体それぞれにその状態でいることのメリットがあることが示せただけでもよしとしましょう.






いかがだったでしょうか.最後の熱力学の説明が迷走してる感がハンパないですが,3 次元の図がうまく作れない() ので本当にすみません… 不明な点があればなんでも聞いてください.熱力学の話は下記のサイトを見てみるといいかもしれません.

fnorio.com

もっと知りたい人のために

重心の公式と内分の公式

「天秤のつりあい」で見たことは実は高校で習う 2 つの公式に現れています.

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1 つ目は位置  x_1 に質量  m_1 の質点が,位置  x_2 に質量  m_2 の質点があるときの重心の位置  x_G を求める公式,2 つ目は点  x_1,点  x_2 を m : n に内分する点の座標  x_{m:n} を求める公式です.2 つ目は 1 つ目の公式で  m_1 = n,\ m_2 = m としたものと同じですね! これは「天秤のつりあい」で述べたことと等価です.(支点は 2 つのおもりを 1 点に集中した時の重心とみなせる)

重心座標のベクトル表記

先ほどの重心の公式はベクトルで 3 次元にも拡張できるので,重心座標と実際の座標をこのように結びつけることができます.

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A, B, C の位置ベクトルを a, b, c で重み付けして平均を取れば良いのです.

三角形の五心の重心座標

三角形の五心の重心座標は,重心を G,垂心を H,外心を O,内心を I,傍心を J とすると,G([1,1,1]),H([tan(A), tan(B), tan(C)], O([sin(2A), sin(2B), sin(2C)]), I([a,b,c]), J([-a,b,c], [a,-b,c], [a,b,-c]) と表せます.(角 A を A,辺 BC (頂点 A の対辺) を a などと表記しています)
重心は自明,垂心は例えば上の図で AL と BC が垂直だとすると,BL = AL/tan(B), LC = AL/tan(C) となり,BL : LC = tan(C) : tan(B) などとなるからです.
また,外心は △ABC が O を中心とした外接円に内接していますから,円周角と中心角の関係から,例えば ∠BOC = 2A となります.すると,△BOC の面積は,外接円の半径を R として R^2sin(2A)/2 となります.すると三角形の面積比が sin(2A) : sin(2B) : sin(2C) になるので,重心座標と対する三角形の面積比からわかります.内心は角の 2 等分線の公式から,BL : LC = c : b などとわかります.傍心は内心のうち 1 つの座標を - にして拡張したものです.(説明雑)
高校ではいわば定性的にしか語られなかった五心が座標を簡単にきっちりと計算できるようになるので地に足がついた感じがしますねw
これを使うと例えばこんなのが簡単に作れちゃいます!

See the Pen Tri by Ysmr-Ry (@As2) on CodePen.

カーソルを合わせてクリックすると点が置けて,3 つ揃うごとに三角形ができその五心などを教えてくれます.三角形ができた後に点をおくとリセットされます.
Enter を押すと補助線の 表示 / 非表示 が切り替えられます.

実はベクトルの問題にもなってる?

ベクトルの典型題で

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を満たす点 G を求めろみたいなのがあると思いますが,これは A, B, C に 8, 9, 6 の重さのおもりを吊るした場合の加重重心を表しています.(まさに上の説明で用いた図の状況)
現にこれを変形すると,

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となり,重心座標のベクトル表記に一致しています.

*1:例えば,△GABと△GCAなら,底辺が AG で共通で,高さの比が BL : LC = 2 : 3 なので面積比は 2 : 3